第2回栃木のスポーツ医療をつなぐ会研修会
1月23日(土)は受付を18時までにさせていただき、20時より「つなぐ会」の研修を行いました。
今回は当院が会場となり、会員の皆様には小雪のちらつく寒い中、仕事上がりの疲れも見せず集まって頂きました。30人近くの人数になったのでかなりぎゅうぎゅうになってしまいましたが、距離の近い分皆さんの熱気が伝わってきました。
今回の講演は私と「すぎなみの森接骨院院長」で日本工学院八王子専門学校教員の教員をされていている後藤晃弘先生と「Daichi メディカルスポーツセンター」代表 木下大地先生の3人に講演いただきました。
まずは「マラソン大会で選手に行うテーピングの実際」~活動を通して見えてくる柔整師のこれから~と題しまして私が趣味と実益を兼ねてやっておりますマラソンにおけるスポーツ障害の、特に自分で罹患した症状について多角的に発症の原因分析をしたものとその対処法を発表し、合わせて昨年のさくら市マラソン大会で行った特設コンディショニングブースでのアンケート結果を分析し、その評価を発表しました。
内容は自身の姿勢や筋力、怪我の既往歴などからランニングフォームにどう影響してスポーツ障害として発症するのか、予防やテーピングによる処置はどうしているかを詳しく発表しました。ただ大会前や大会当日など十分な診察時間が取れない場合の簡易的な診断法や、それを基にテーピングをはじめとした処置法を確立するにはデータが足りず、これからの課題となりました。
それと選手にテーピング等の処置をした後アンケートに答えていただきそれを分析評価することで、これからの課題や可能性が見えてきました。
つたない発表ではありましたが、日々の診療の一助になれば幸いです。
二人目は後藤晃弘先生が「非言語コミュニケーション」~相手を不快な思いにさせないために~ と題して講演されました。非言語コミュニケーションとは、言語以外の要素によるコミュニケーションの事で具体的には、表情、目線、しぐさ、姿勢、声の高低、声の大きさ、話すスピードや滑らかさ、匂い、色彩などの五感に訴える要素で、「聴覚情報」と「視覚情報」とに分けられるそうです。有名な「メラビアンの法則」というのがあってコミュニケーションにおいて、言語情報、聴覚情報、視覚情報が受け手に与えるインパクトを数値で表すと、言語はわずか7%、聴覚は38%、視覚は55%である、という内容です。これは、コミュニケーションにおいて、受け手は言葉の内容よりも、実はそれ以外の部分に多くの影響を受けているということを示しているそうです。
また3:3:3の法則では最初の3秒で第一印象が決まり、30秒で第二印象、3分で自分との関係性を決めるというものです。これは整骨院の仕事においても当てはまるもので、新患の患者さんに与える第一印象はとても重要です。患者さんに「この人のいうことは信頼できる」と思っていただけないと、治療結果にも影響が出てしまいます。
実技では「パーソナルスペース」について学びました。これはコミュニケーションをとる相手が自分に近づくことを許せる、自分の周囲の空間(心理的な縄張り)を指します。 1・密接距離(intimate distance) :0cm〜45cm・身体に容易に触れることが出来る距離 2・固体距離(personal distance) :45cm〜120cm・二人が共に手を伸ばせば相手に届く距離 3・社会距離(social distance) :120cm〜350cm・身体に触れることは出来ない距離 4・公衆距離(public distance) :350cm以上・講演会や公式な場での対面のときにとられる距離 この4つの空間定義があるそうです。
これを踏まえてTPOにあわせたパーソナルスペースを意識して相手と接することが、診察時や施術を行う際に、心地よいコミュニケーションを築くひとつの方法と言えるのではないかと思います。実際に相手と対面しての自分のパーソナルスペースの確認は興味深いものでした。患者さんに対して無意識に行っていたことが学問としてあることで、間違っていなかったと確信できるものでした。
最後は、「試合前のパフォーマンス向上ワンポイント」~年代別日本代表選手へのアプローチ~と題し木下大地先生が実際に施術を行っているプロ選手やトップレベルの選手(サッカー、ロードスポーツ等)の診察→診断→処置の方法を教えていただきました。試合やレースに際し何が必要で何が不要か選手の状態を正確に判断し、それを基に治療を行い結果を出す。結果を出すためのプロセスがとても大切で状態の把握が非常に難しいのですが、どのようにアプローチしていったのか丁寧に解説してくださり、その思考法が大変参考になりました。
気がつけば0時を過ぎて日付が変わってしまいましたが、充実した勉強会になったと思います。皆さんの熱意を肌で感じることで、明日への活力へとなりました。
URL : http://www.kato-seikotsuin.co.jp/news/post934.html