脚の痛み~それってどこから?
下肢の冷えや痺れ、痛み、間歇性破行(下肢の痛みや痺れの為に休み休みしか歩けない事)を訴える患者さんを多く見かけます。
この場合注意すべき疾患が2つあります。腰部脊柱管狭窄症(SCS)と閉塞性動脈硬化症(ASO)です。
脊柱管狭窄症の原因としては、主に椎間板ヘルニアや変性すべり症、加齢にともなう椎間板、椎体、椎間関節や椎弓の変性によるものが挙げられます。要するに関節周辺の障害によるものですね。
閉塞性動脈硬化症は動脈硬化(粥状硬化)により主にコレステロールが動脈壁内膜に沈着し、動脈の内腔が狭くなり循環障害を来した病態です。つまり血管が詰まって血流が悪くなってしまった状態です。
症状は似ていますが全く別の病気で鑑別が必要です。
特に問題なのは閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患PADとも言う)による間歇性破行を持っている人は15~20%近くが5年後に心臓や頭の病気で亡くなっているという事実があります。つまり動脈硬化は全身に起きる病気なので、現在ではPADの方の60%以上は心臓や脳血管の病気を合併している事がわかっています。しかも血管の詰まり具合の軽い重いで死亡率に差がありません。従って早期発見、予防が大切になります。
ABI検査とPWV検査は、手と足の血圧の比較や脈波の伝わり方を調べることで、動脈硬化の程度を数値として表して動脈硬化(血管の老化など)の度合や早期血管障害を検出することができます。ベッドの上で仰向けになり、両側の腕と足首に、血圧計の帯(カフ)、心電図の電極、心音マイクを装着します。ABIとPWVを同時に測定し、その結果をコンピューターによって数値化します。所要時間は5分程度です。
足の症状は、「安静時にも症状があるか」「歩いた時だけか」に大きく分かれます。また、下肢の疼痛は「両側性か片側性か」、「疼痛の部位はどこか」、「冷感などの症状をともなうか」、「姿勢による変化はあるのか」などの臨床症状が重要です。例えば、ASOであれば、疼痛は比較的、安静時にもあり片側性で、疼痛部位はふくらはぎにあり、冷感を伴うことが多く、一方、LSCSであれば、両側性で臀部から下肢全体にかけて疼痛やしびれがあり、前屈位にて症状が緩和することが多いとされています。いくつかの鑑別ポイントやテストがありますが、冷えや痺れだけの事も多いため気になる事があれば何でもご相談下さい。
URL : http://www.kato-seikotsuin.co.jp/news/post668.html