正常性バイアスとハインリッヒの法則 ~しくじり先生反省文~
「正常性バイアス」・・・認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。 自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる。「正常化の偏見」、「恒常性バイアス」とも言う。
「ハインリッヒの法則」」・・・労働災害の分野でよく知られている、事故の発生についての経験則。 1件の重大事故の背後には、重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており、さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハット(ヒヤリとしたりハッとしたりする危険な状態)が隠れているというもの。「1:29:300の法則」とも呼ばれる。
2つとも災害分野でよく使われるものですが、医療やオフィスワークの領域でも浸透してきています。 当然僕もその考えを仕事に取り入れていますが・・・。
昨夜は仕事を終えいつもより少し早めの10時位に職場を出て帰宅しました。帰り際乾燥機の排気口から出る湯気の大きさで気温の低いことがわかります。遅めの夕食は温かい鍋にしてもらい、日曜日にはマラソン大会も控えているのでお酒は我慢しつつ、鍋を一口二口くちにしたそのときに携帯がなりました。表示を見ると知り合いの先生からで「あれ?こんな時間にどうしたのかな?」と思いながら電話に出ると「今、知り合いの消防士から連絡があって・・・」その深刻な口調に何か重大なことが起こったことを察知して、「消防?スタッフの事故?事件?なんだ?」一瞬で様々なことがいくつも頭をよぎりました。「先生の整骨院に出動命令が出たそうです。火事の通報があったようです。」ーーーー!?「えっ?ウチ?」妻や娘に後から聞いたのでこのやり取りはあまり覚えていないのですが、頭が真っ白になりました。「整骨院が火事らしい!行ってくる!」とすぐに家を飛び出し整骨院へと向かいました。・・・「マジか?マジか?」同じ言葉を何度も何度も口にして、震える手を抑えながらハンドルを握りました。信号に捕まり停車していると、火事を伝える防災無線の音やいくつもの消防車のサイレンの音が聞こえました。焦る気持ちで「どこから出火したのか?」考えられるのは衣類乾燥機でした。
「タイマーだから大丈夫だろう」「防犯してれば大丈夫」「20年間問題なかったしこれからも・・・。」と、普段からタイマーをかけたまま帰っていました。しかしこうなって初めて、無人で乾燥機をかけるリスクを突きつけられました。燃え上がる整骨院の映像、スタッフの生活やこれからのことが、ぐるぐると頭を駆け巡り整骨院までの6~7分がとてつもなく長く感じました。自分の背負っている責任が、いかに重いかわかっていたつもりで、ちっともわかっていなかったと思い知らされました。
結局乾燥機から出ている湯気を火災の煙と勘違いされたご近所の方が、通報されたということで、実際の火災はありませんでした。・・・が、消防車10台以上パトカーも数台出動され、ご近所の方々も百人規模で集まられたようで、ものすごい騒ぎになってしまいました。通報していただいた方にも多大なご心配をおかけしました。心配して通報してくださったこと感謝しております。しかしながら遅い時間の寒い中、私の不注意で皆様の貴重な時間を奪ってしまったことは事実です。ご迷惑をおかけしたすべての皆様にはこの場を借りてお詫び申し上げます。
誠に申し訳ございませんでした。
今回のことを教訓として、もう一度普段の生活習慣を見直したいと思います。本当にお騒がせいたしました。
かとう整骨院 加藤芳昭
追記:誰もいなくなって私も帰宅しようと車に乗り込んだ頃、火事の通報を受けて東京電力の方が3人で様子を見に来られました。知らないところでたくさんの人達が関わっているんだと実感しました。遅くにご苦労さまでした。
URL : http://www.kato-seikotsuin.co.jp/news/post3159.html