勉強会
19日は仕事が終わってから院内勉強会を行いました。
スタッフによる「頭痛と顎関節症」「上位交差性症候群」について発表がありました。
いわゆる頭痛持ちの慢性頭痛
「慢性頭痛」は、脳自体には異常が全くなく、原因がはっきりしないまま、繰り返し起こるタイプです。 いわゆる「頭痛持ち」といわれるタイプ。
頭が痛い症状の方の全体の約80%は慢性タイプだといわれています。
慢性頭痛にも大きく3種類あり、それぞれ痛みや対処が違います。 また、1種類だけでなく複数のタイプが入り混じった混合型の方もいます。
【1】偏頭痛 【2】緊張型頭痛 【3】群発頭痛
この3つが慢性頭痛のタイプです。それぞれ、以下にあげる特徴がありますが、症状がすべて一致することはまれで、 痛みの感じ方には個人差がありますので、症状が気になる方は受診をおすすめします。
【1】片頭痛
頭部の血管が拡張し、炎症を起こして痛みが発生するのが片頭痛ですが、その発生の原因には幾つかの説があります。 1~数ヶ月に1~2回、周期的にこめかみや眼を中心におこる拍動性(ずきんずきん、ガンガン)の強い頭痛が特徴です。 30才前後の女性が最も多く、慢性頭痛全体の約4分の1を占めるといわれています。 一旦頭痛が始まると、光や音がものすごくわずらわしく、頭を動かすたびにガンガン響いて、 静かなところでじっと寝ているしかない状態になることもあります。 大体は一晩寝ると楽になりますが、中には2~3日具合の悪さが続く人もいます。また2割程度の人は前兆といって、 頭痛がおこる20分程前から、目の前に光るぎざぎざが現れだんだんと広がったり、人物が異常に大きく見えたりゆがんだり、 風景が流れたりする見え方の異常を感じる場合もあります。
【2】緊張型頭痛(肩こり頭痛)
緊張型頭痛の発生には、身体的・精神的なストレスが複雑に関係していると考えられています。 痛みの程度はそれ程ひどくなく、何となく重苦しいという状態から、頭全体が締め付けられる、 後頭部にびりっと痛みが走る状態まで様々な程度があります。多くは肩こりが見られ、 苦しいので何となく後ろ頭に手が行ってしまうのがこのタイプです。肩こりは精神的ストレスの現われとも考えられ、 頻度的には最も多く、慢性頭痛の6~7割を占めるといわれています。 年令も10才代から90才代まで幅広く、ものすごい肩こりにもかかわらず、肩こりを自覚できない人もいます。 肩こりは筋肉の血の巡りが悪くなり、乳酸などの疲労物質がたまって痛みを引き起こすので、温めて動かすのが治療の基本となります。
【3】群発頭痛
30才前後の男性によく見られ、慢性頭痛の1%程度と頻度は高くありせん。季節の変わり目に年1~2回、 1~2ヶ月の間毎日、きまって片方の眼の奥がえぐられるような、絞り切られるような、と表現される激痛が数時間起こるのが 特徴です。大体は寝入って1~2時間してひどい痛みで眼がさめるという状態で、片頭痛とは違いじっとしていられず、 頭を壁にガンガン打ち付ける人もいるくらいで、頭痛と同時に眼が充血し涙が出たり、鼻がつまって鼻水がでたりという 随伴症状もあることも群発頭痛の特徴となります。
我々が良く遭遇し運動療法や鍼治療の適応になるのが2の緊張型頭です。普段の姿勢や運動習慣を見直すなど生活習慣を改善するだけでよくなることも珍しくはありません。お風呂や音楽鑑賞でリラックスしてストレッチや有酸素運動で筋緊張を緩め根本から改善させていくことが重要です。 一方片頭痛は、生活習慣の改善はもちろん大切ですが、 それだけで改善が難しい場合は、発作の予防や痛みを抑えるための薬物療法を行うことも重要です。両方を合併している人は普段から生活習慣の改善を心がけるようにしてください。その上で、一人一人の片頭痛の特徴・症状に合わせた薬を正しく飲みましょう。
顎関節症もよく遭遇する疾患です。
(1) 顎関節学会の分類
I 型…咀嚼筋障害を主徴候とする顎関節症で、その病理は筋スパズムと筋炎である。顎関節に形態学的な異常はなく、主症状は筋痛である。運動時痛と運動障害を生じることがある。
II 型…関節包、関節靭帯、関節円板の伸展や捻挫による病変を主徴候とする顎関節症である。顎関節部の運動痛、圧痛が主症状で、運動障害や関節雑音、筋痛を伴うこともある。
III 型…関節円板の転位や穿孔、線維化を主徴候とする顎関節症である。筋痛はなく、顎関節部の疼痛は弱い。関節雑音が特徴的である。関節円板の復位を伴うかによって、さらに2つに細分化される。
・ III 型a:復位性関節円板転位。関節円板が復位するときにクリックと呼ばれる関節雑音を生じる。
・ III 型b:非復位性関節円板転位。関節円板が復位せず、そのためにクローズドロックを生じる。
IV 型…関節軟骨の破壊、下顎窩や下顎頭の骨吸収や変性・添加、関節円板や滑膜の変形などを主徴候とする顎関節症である。臨床所見では、クレピタスと呼ばれる関節雑音が特徴的で、X線検査でも異常が認められるようになる。
V 型…上記の I ~ IV のいずれにも分類されない顎関節症で、心身医学的要因などによって顎関節部に異常をきたしたものも含む。
Ⅲ型aまでであれば当院での適応範囲に入ります。(場合による)それ以上は口腔外科等領域になります。歯科との連携が不可欠になってきます。
これらの疾患の原因に上位交差性症候群が影響していることも少なくありません。
上位交差性症候群upper crossed syndromeとは上半身における機能障害の代表で、椎前筋、菱形筋、僧帽筋中・下部線維、前鋸筋が機能低下を起こし、一方で肩甲挙筋、後頭下筋群、僧帽筋上部繊維、大・小胸筋、広背筋が機能亢進を起こしている状態です。デスクワークの方に特に多く、前方頭位、胸椎の後弯、横隔膜の扁平化、肩甲骨の前傾・外転が起こり、所謂、猫背といわれる姿勢になります。
横から観察すると①頭部が前方にシフトし、②バランスをとるために背中を丸めて(胸椎後彎)③肩甲骨が外転位にある という特徴があります
要は「猫背ですごく姿勢が悪いために色んな所に痛みが出ている状態」の事です。上位交差性症候群が起きると、上肢は肩関節屈曲、肘関節屈曲、前腕回内、手関節掌屈、手関節尺屈位となり、上肢のマルアライメントを起こします。(骨格形態の異常をマルアライメントといい、マルアライメントはスポーツ外傷・障害を引き起こす一因となります。)
スマホ(ストレート)ネックなどもこれに当てはまります。前屈60度でスマホをしていると、何と首には30Kg近いストレスがかかります。(低学年の小学生1人分!)
頭痛治療と同様に、痛みや緊張を取り除く治療も大切ですが、上肢のマルアライメントを改善するようなアプローチを同時に行う事が大切です。
その後僕が「体の歪み」のチェックとそれに対しての運動療法を確認しました。
骨盤の関節は可動域が狭く、歪む事はほとんどありません。関節と呼べるのは仙腸関節だけで可動域はごくわずかです。(殆どない)つまり骨盤(仙腸関節)が歪む事はなく、筋肉に起因します。前後左右の筋力の違いが歪みを生むのです。
歪みの状態を正確に判断して、鍛える筋肉、緩める筋肉、日常生活動作を的確に行う事で悩んでいる症状を改善できるはずです。少しでも患者さんの苦痛を取り除くために日々勉強です。目指せ根治療!
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